遺産分割をやり直すことはできますか?
1 遺産分割のやり直しは可能
遺産分割は、相続人全員が同意する場合、やり直しをすることができます。
実際に遺産分割をやり直す場合は、基本的に、新たに分割の方法を相続人全員で協議し、改めて遺産分割協議書に署名・押印して行います。
このように、遺産分割のやり直しは、相続人全員が同意すれば行うことができますが、反対に、一人でも遺産分割のやり直しに反対している場合、基本的に、遺産分割のやり直しができなくなります。
もちろん、当初の遺産分割が詐欺や強迫によって行われた場合や、錯誤によって行われた場合は、相続人全員の同意なく、取消し、改めて遺産分割をやり直すこともできますが、実際問題、このような場合はあまり多くなく、また、やり直しが認められる可能性もそれほど高くありません。
2 税金に注意
遺産分割のやり直しがあった場合、別途、贈与税が課せられる可能性があります。
たとえば、被相続人が父、相続人が長男と次男の場合で、当初の遺産分割では、長男が2000万円の遺産を取得したとします。
その後、長男と次男は、遺産取得額を平等にしたいという思いから、遺産分割のやり直しをし、長男と次男とがそれぞれ1000万円の遺産を取得することになりました。
この場合、税金上、長男から次男に対し、1000万円の贈与があったとして、贈与税が課せられる可能性があり、その場合、231万円の贈与税がかかります。
そうなってしまっては、最終的な遺産取得額について、長男は1000万円、次男は、贈与税を控除すると769万円なり、長男と次男との間には不平等が生まれてしまいます。
さらに、遺産が不動産の場合は、登録免許税や不動産取得税もかかってきてしまいます。
このように、遺産分割のやり直しを行うと、思ってもみない税金が課せられる場合がありますので、注意が必要です。
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