遺産分割協議書を作らないとどうなりますか?
1 遺産分割協議書とは
相続後、協議により合意された内容をまとめ、被相続人全員の合意がされたこと明らかにした書面 のことを「遺産分割協議書」といいます。
遺産分割協議書は複数の相続人間での相続財産の分割に関する合意書のため、遺言書が被相続人によって作成されており、その有効性について争いがない場合や、相続人が1名しかいない場合などには遺産分割協議書の作成は不要となります。
2 遺産分割協議書がないと困る手続き
遺産分割協議書は被相続人の財産をどのように処分するかの根拠となる書面ですので、被相続人の財産を処分する手続において必要となります。
具体的に言えば、 ①相続財産の査定額100万円より高額の車の名義を変更する場合、②相続財産の不動産名義を変更する場合などが代表的なものになります。
特に、不動産の名義変更(相続登記)は2024年4月より義務化され、怠ると10万円の過料に処せられる可能性がありますので注意が必要です。
3 相続人が集まっての協議書の作成が難しいときは遺産分割協議証明書
相続人が離れた場所にお住まいの場合、遺産分割の協議自体は電話やメールなどでも容易に行えますが、実印を要する書面を作成することは難しいです。
書面を遠方にいる人に郵送して署名押印して送り返してもらうという方法もとれますが、多数の相続人が離れている場合は何度も別の場所へ書面を往復させる手間がかかります。
そこで、「遺産分割協議証明書」という手段が考えられます。
協議書との違いは書面にある署名と押印です。
協議の合意内容は協議書と同じく書かれますが、署名と押印は相続人1名分で、それを相続人全員分作成することで、1枚で全員の合意を明らかとする協議書と同じ扱いが原則としてできます。
証明書が利用できる場合は、1枚の書面に1人の署名と押印があれば足りるので、多数の相続人が遠方にいる場合でも同時に作成を進めることができ、協議書より手続を迅速に進めることができます。
4 遺産分割協議書作成時には是非1度ご相談を
遺産分割協議書は、被相続人の財産を処分する根拠となる書面ですので、内容も一義的になるようにし、金融機関等手続を行う機関に疑義が生じないよう内容を精査する必要があります。
そのため、遺産分割協議書を作成する場合は一度専門家にご相談することを強くお勧めします。弁護士法人心にお気軽にお問合せください。
弁護士法人心はなぜ相続案件が得意なのですか? 遺産分割をやり直すことはできますか?